運用型広告とは? 種類やメリット・デメリット、成功するためのポイントを紹介

【監修】株式会社ジオコード Web広告事業 責任者
新井 政樹

「運用型広告」は予算やサイト、広告内容などを加味して、関連性の高い最適な広告が出稿されるため、少額の出稿でも成果を上げやすい手法です。

しかし成果を出すには、ノウハウ・知識が必要となるため「始めたいがわからない」「始めたがうまくいかない」と悩まれる方もいらっしゃるでしょう。

そこで本記事では、運用型広告の基本から種類やメリット・デメリット、成功するためのポイントまで解説します。運用型広告を成功させたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

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運用型広告とは?

運用型広告とは、広告の目的や成果に応じて予算・ターゲット・広告クリエイティブなどを広告主がリアルタイムに変更・調整できる出稿方法です。

ユーザーの反応を見ながら改善していけるため、コスト削減や成果達成につなげやすい方法です。

運用型広告の仕組み

運用型広告は、オークションで広告枠を落札できると配信される仕組みです。

詳しい課金方法は後述しますが、必ずしも高い金額を提示すれば落札できるとは限りません。

運用型広告を配信するには、広告やWebサイトの内容などを考慮した独自アルゴリズムで「良質」と判断される必要があります。

広告ランクが高いほど優先的に掲載されやすく、以下の要素からランク付けされます。

  • 入札単価
  • 広告・ランディングページの品質
  • 広告アセットやその他オプション

もちろん入札額が大きいほど有利ですが、予算に余裕のない企業でも、媒体選定や適切な予算の準備、目標の明確化など、日々の改善で落札が期待できます。

運用型広告の課金方式

運用型広告は課金方式によって、費用のかかり方や入札方法が変わるため、自社に合った方法を採用することが大切です。

課金方式は、主に以下のような方式が代表的です。

  • クリック課金(CPC型):広告がクリックされるたび費用がかかる方式。広告からリンク先へ遷移する温度感の高いユーザーにのみ費用が発生するため、費用対効果が高い
  • インプレッション課金(CPM型):広告が表示されるたび費用がかかる方式。商品の認知度拡大など、単純に広告が見られた回数を重視する場合に適しており、広告費を一定に保てるのもメリット
  • コンバージョン課金(CPA課金):広告からコンバージョン(申し込み完了・購入完了)が発生した際に費用がかかる方式。成約につながるアクションにのみ課金できるため、確実性が高く費用対効果が高い
  • 視聴課金(CPV型):動画広告が視聴されると費用がかかる方式。動画をある程度視聴したユーザーにのみ広告費を投資できるため、広告の内容を認識してもらえる可能性が高い
  • フォロー課金(CPF型):SNSでフォロワーに追加されると費用がかかる方式。確実にフォロワーを増やせるため、自社SNSの強化に適している
  • インストール課金(CPI型):アプリがインストールされると費用がかかる方式。アプリのインストール数アップに貢献してくれ、単純露出だけでは費用がかからないため費用対効果が高い

自社の商品・サービスや広告を出す目的に応じて、適切な課金方法を選択しましょう。

運用型広告が注目されている理由

運用型広告が注目されている理由として、情報収集の方法がインターネットへシフトしていることが挙げられます。

多くの人がインターネットやSNSで情報収集するようになってきたことで、従来の新聞やテレビといったマスメディアで広告を出しても大きな成果を得にくくなってきました。

しかし運用型広告であれば、ユーザーの趣味嗜好に合った広告を流せるため、広告に興味を示す可能性の高いユーザーに狙いを定めて、情報を届けることが可能です。

運用型広告のメリット

運用型広告を出稿するメリットとして、以下の3点が挙げられます。

  • 少額から手軽に広告を出せる
  • 広告を配信するターゲットを絞れる
  • 配信内容をリアルタイムで調整できる

いずれも従来の広告では難しく、運用型広告ならではのメリットです。

少額から手軽に広告を出せる

少額から広告を出せるため、予算の厳しい企業でも挑戦しやすくなっています。

運用型広告の入札価格は、数円単位で設定可能。ワンコインから広告を出稿できるため、テレビCMのような、数十万円~数千万円規模の予算は必要ありません。

また予算を自由にコントロールできるため、例えば「初回は少額で広告を出したい」「キャンペーン期間だけ予算を増やす」など柔軟な運用も可能です。

加えて課金方式が多彩に用意されているおかげで、広告出稿の目的を最低限の予算で果たしやすいのもポイントです。

広告を配信するターゲットを絞れる

広告を配信するターゲットを絞れるため、最低限の予算で最大限の成果を出しやすいのもメリットです。

運用型広告では、下記のような属性情報から配信ターゲットを絞れます。

  • 年齢
  • 性別
  • 居住地
  • 興味関心
  • 閲覧コンテンツ
  • ユーザーの行動
  • 広告主が持つ顧客情報 など

運用型広告は、興味・関心を示してくれる可能性の高いユーザーへ、ピンポイントで情報発信が可能。自社商品の知名度アップ・購買促進が、効率的かつ効果的に行えます。

年々ターゲティング精度は向上しており、より精度の高い運用ができるようになっています。

配信内容をリアルタイムで調整できる

配信頻度・配信内容をリアルタイムで調整できるのも、運用型広告ならではのメリットです。

新聞・テレビなどの広告は、一度出稿すると途中で内容を変更するのは困難ですが、運用型広告はユーザーの反応を見ながら変更できます。

例えば、出稿して成果を得られなくても、広告クリエイティブを差し替えたり文面を変更したりと、改善・調整をすぐに行えます。

他にも以下のような、さまざまな条件をリアルタイムに変更可能です。

  • 広告費用の増減
  • 広告を掲載したくないサイトへの配信停止
  • 広告頻度の増減
  • 広告出稿時間の変更
  • ターゲットの変更 など

運用型広告のデメリット

最低限の予算で効果的に成果を出しやすい運用型広告ですが、メリットだけでなくデメリットも存在します。

  • 専門知識とノウハウが必要になる
  • 効果が出るまでに時間がかかる

デメリットも把握した上で、実施するか否か検討しましょう。

専門知識とノウハウが必要になる

成果を出すには、専門知識とノウハウが必要になります。

運用型広告で成果を出すには、以下のような専門知識・ノウハウが必須です。

  • 細かいターゲティング設定
  • 適切な配信方法の選定
  • 各種データに基づく分析
  • 効果測定
  • 媒体ごとの特性 など

運用型広告は、できることが多過ぎて、効率よく運用するには専門的な知識が必要です。

また広告を配信しながら配信内容を改善していくには、各種データからどのような改善が必要か導き出せなくてはなりません。

加えて、下記のような媒体ごとの特性を把握して、適した広告を出す必要があります。

  • Google
  • Yahoo!JAPAN
  • X(旧Twitter)
  • Meta(Instagram・Facebook) など

このように多岐にわたる専門知識・ノウハウを身につけた人材を育てる、もしくは外部のプロを雇う必要があります。その結果、手間やコストが増える可能性も考えられるでしょう。

効果が出るまでに時間がかかる

効果が出るまでに、時間がかかるのも運用型広告のデメリットです。

運用型広告は選択肢が幅広いため、成果を出すには以下のような配信前の準備が肝心です。

  • 広告の配信媒体の選定
  • 配信タイミング・頻度の選定
  • ターゲットの選定 など

自社の商品・サービスに興味を示すターゲットへ情報を届けるためには、決めるべきこと・準備すべきことが多い広告です。

また配信してからも、ユーザーの反応に合わせて調整する必要があり、効果が最大限出る勝ちパターンを見つけるまでに時間と労力がかかります。

結果が出るまで時間がかかると想定して、焦らず成果を目指す体制が必要です。

運用型広告の種類

運用型広告には、大きく6つの種類があります。

  • リスティング広告
  • ディスプレイ広告
  • SNS広告
  • アドネットワーク
  • 動画広告
  • リターゲティング(リマーケティング)広告

それぞれの広告について解説するので、どの広告が自社に合うか確認してみてください。

リスティング広告

リスティング広告は、Googleなどの検索エンジンで、ユーザーが検索したキーワードに応じて表示される広告です。

基本的にはテキストのみですが、設定しだいでは特定ページへのリンクやお問い合わせ電話番号、画像なども一緒に表示できます。

検索エンジンで検索するユーザーは「知りたい」「買いたい」「行きたい」など、何らかの行動に移したい顕在層です。

ユーザーが望む商品・サービスの広告を表示できれば、広告のクリックやサイトへの流入が見込めるため、他の広告手法と比べても費用対効果が高いのが特徴です。

そのため下記のような、商材・シーンに適しています。

  • すぐに成果(購買や問い合わせ)へつなげたい場合
  • 顧客がインターネットで調べる機会が多い場合

ただし競合の広告主が多く、競争率が高くなっています。

ディスプレイ広告

ディスプレイ広告は、Webサイトやアプリにバナー・テキストなどを掲載できる広告。バナー広告とも呼ばれます。

大手メディアから小規模メディアまで幅広く配信されるため、広告枠が多く、幅広いユーザーにリーチできるのが特徴です。

また自社の商品・サービスに、まだ興味を持っていない層へ配信できるのもポイントです。

そのため、以下のような商材の訴求に適しています。

  • ファッション・インテリアのような視覚的な訴求が有効な商材
  • より多くのユーザーに知ってもらいたい場合

比較的低単価で広告出稿できるため、予算的に厳しい場合にも適しています。

SNS広告

SNS広告は、InstagramやX(旧Twitter)、TikTokなど、各種SNSに出稿する広告です。

ユーザーの登録情報や行動に基づいてターゲティングできるため、自社商品と親和性の高いユーザーに広告を表示しやすくなっています。

何よりユーザーのタイムラインに溶け込みやすく、自然に商品・サービスをアピールしやすいのが特徴。広告らしさを感じさせないので、広告を嫌うユーザーにもリーチしやすくなっています。

また単に広告を出すだけでなく、拡散を狙えるのもメリットです。

そのため下記のような、商材・シーンに適しています。

  • SNSで拡散を狙いたい場合
  • 自社のSNSアカウントのフォロワーを増やしたい場合
  • 広告を嫌うユーザーに届けたい場合

SNS広告の成果を高めるには、自然投稿と似た雰囲気にしたり、実際に商品を使っている様子を投稿したりするのがおすすめです。

アドネットワーク

アドネットワークは、広告を出稿できるWebサイト・SNSを集めた広告配信ネットワークに、広告を配信する手法です。

1つのアドネットワークへ出稿するだけで、複数の媒体へ出稿できるため、簡単に多数のメディアへ広告を配信できるのがメリットです。

こうしたアドネットワークの代表的な媒体として、以下のようなものが挙げられます。

  • nend
  • akane
  • i-mobile
  • Googleディスプレイネットワーク
  • Audience Network など

アドネットワークに出稿すると、下記のようなメリットがあります。

  • 工数削減
  • ターゲティングや配信時間指定機能による広告パフォーマンス最大化
  • 課金形態・効果測定データの統一

広告に多くの工数を割けない、人員の少ない企業や効率的に広告運用したい企業に適しています。

動画広告

動画広告は、WebサイトやYouTube・Instagram・TikTokなどSNSで流れる動画コンテンツ型の広告です。

代表的なのがYouTubeの動画広告で、動画の閲覧前や再生中に広告を流すことで、多くのユーザーにリーチさせられます。

動画はテキストや画像よりも、一瞬で多くの情報を伝えられるのが強み。商品の使用感や使用している様子、サービスの流れなど、テキスト・画像では伝えにくい情報もわかりやすく伝達できます。

そのため下記のような、商材・シーンに適しています。

  • SNS利用者に情報を届けたい場合
  • 一瞬で多くの情報を伝達したい場合
  • テキスト・画像では伝わりにくい商材の場合
  • 使用感・使用イメージのような消費者目線の情報を届けたい場合

動画の制作は、スキップや無音声での視聴も前提に、初めに伝えたいことを流す・字幕を入れるなど、より多くの人に伝える工夫が大切です。

リターゲティング(リマーケティング)広告

リターゲティング広告は、Webサイトへ訪問経験があるユーザーを追跡して、広告を配信する手法。リマーケティング広告とも呼ばれます。

ユーザーが既に認知している商品・サービスに関連した広告を表示できるので、一般的な広告よりも購入・問い合わせなど成果につながりやすいのが特徴です。

リターゲティング広告は、下記のようなユーザーにアプローチできるため費用対効果が高くなっています。

  • 1度商品を購入した
  • Webサイトを閲覧したが購入には至らなかった
  • カートに入れたがカゴ落ちした

単純接触効果を狙えることや商材が忘れられるのを防げるため、検討期間が長くなりやすい商材(EC・不動産・旅行・金融・BtoB商材)と相性抜群です。

運用型広告で成果を出すためのポイント

運用型広告で成果を出すためには、4つのポイントをクリアすることが大切です。

  • 広告の運用目的を明確にする
  • 広告を配信するターゲットを絞る
  • 配信状況を確認してPDCAサイクルを回す
  • 遷移先のWebページをアップデートする

最短で成果を出せるように、4つのポイントを押さえておきましょう。

広告の運用目的を明確にする

なぜ広告を出稿するのか、運用目的を明確に定めましょう。

広告を出稿する目的は多岐にわたり、主に以下のようなものが考えられます。

  • 商品の知名度を上げたい
  • 新規顧客を増やし売上を高めたい
  • ブランドのイメージを作りたい
  • キャンペーンの告知をしたい など

目的によって適した運用型広告の種類・重視すべきデータなどは異なるため、目的が曖昧だと、効果測定や改善にブレが生じやすくなります。

ハッキリと目的・目標を定めた上で、広告を運用することが大切です。

広告を配信するターゲットを絞る

広告を配信するターゲットを絞って、よりターゲットに刺さる広告内容に仕上げるのはもちろん、適切な媒体を選びましょう。

広告を見てもらいたいターゲット層によって、効果的な広告は異なります。

例えば同じ文具の広告でも、20代OLと50代の男性会社員では、興味を引くコンテンツ内容は大きく異なるでしょう。

どのような層に向けて広告を出すのか明確にして、ターゲットへピンポイントに刺さる内容に仕上げると、費用対効果の高い広告を出せます。

また、広告を配信する媒体選びも重要です。

先ほどの例の場合、20代OLならInstagramやTikTokなどへの出稿が効果的だと考えられますが、50代の男性会社員向けであれば、Facebook広告の方が適しているかもしれません。

配信状況を確認してPDCAサイクルを回す

運用型広告は配信状況を日々確認して、PDCAサイクルを回していくことが大切です。

成果が乏しい場合は、広告クリエイティブやテキスト内容、配信設定などを修正し、時には目標設定から改める必要もあるでしょう。

例えば、以下の対策が考えられます。

  • クリック数が減っている場合:よりクリックされるテキストに修正する
  • 表示回数が減ってる場合:入札価格を上げる

最初から完成度にこだわり過ぎるとスピードが落ちるので、徐々に完成度を高めるイメージで、PDCAサイクルを回しながら改善を繰り返すのがおすすめ。設計から検証まで、3周は繰り返すと完成度の高い広告に仕上がりやすくなります。

遷移先のWebページをアップデートする

広告の遷移先である、Webサイト・LP(ランディングページ)のアップデートも重要な施策です。

たとえ広告が魅力的でも、遷移先に魅力がなく情報に乏しければ、ユーザーはすぐに離脱してしまうかもしれません。

Webページを見てもらうだけで満足せず、商品購入や契約成立といったコンバージョンにまでつなげられる導線を確保しましょう。

そのため広告の効果検証だけでなく、遷移先のWebページでの「滞在時間」「離脱箇所」などもチェックして、改善していく必要があります。

まとめ

運用型広告とは、広告の目的や成果に応じて予算・ターゲット・広告クリエイティブなどを変更・調整できるため、ユーザーの反応を見ながら柔軟に運用できる方法です。

PDCAを回しながら運用できるため、コスト削減や成果達成につなげやすいのが魅力です。

ただし柔軟に調整できる反面、専門的な知識やノウハウがなければ、思ったように成果を出しにくいのがネックです。

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