ステマとは?_サムネイル画像 ステマとは?事例とそのリスクを紹介

【監修】株式会社ジオコード Web広告事業 責任者
新井 政樹

ネットで買物をするときにレビューやクチコミを参考にすることは一般的で、多くの人が行っています。

ですが現実、それらのレビューには「サクラ」や「ヤラセ」が含まれていることがあります…

この記事では「サクラ」や「ヤラセ」といった手を使って行われる手法「ステマ(ステルスマーケティング)」について解説します。

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ステマとは?

ステマとは、消費者に宣伝や広告であることを隠して行われる、マーケティングのことです。

ステルスマーケティング(Stealth Marketing)の略で、直訳すると「こっそりと、気づかれないようなマーケティング」という意味になります。

冒頭で述べたような「サクラ」「ヤラセ」もステマに該当します。
こちらの方が馴染みがあってイメージしやすいかもしれませんね。

商品やサービスに対する印象を操作する目的で行われ、発覚すれば一時的な非難に留まらず、消費者から大きく信頼を失うこともあります。

ステマの代表的手法

ステマは大きく分けて、「一般の消費者を装う方法」と「一般人や芸能人に依頼する方法」の2つがあります。

① 一般の消費者を装って行う方法

一般の消費者を装い、口コミサイトやブログに高評価や商品を褒めるような内容を投稿します。

成功報酬型広告である「アフィリエイト」がよくステマと勘違いされますが、広告・宣伝であることを隠していなければ該当しません。

② 一般人や芸能人に依頼する方法

近年、インフルエンサーマーケティングの市場が拡大しているように、芸能人や人気のあるメディアの影響力は非常に大きくなっています。

SNSアカウントやメディアなど、Web上に多くの人が集まる場所を所持している人も存在し、マーケティングにおいて高い価値を創出しています。

ステマでは、こういったインフルエンサーに依頼してプラスとなるレビューを書いてもらったり、商品をオススメするブログ記事を書いてもらいます。

第三者の意見と言うだけでなく、「この人が言ってるなら…」といった共感により、マーケティングにプラスに働くわけですね。
※もちろんやっちゃダメですが…

ステマをやってはいけない理由

広告はサイトや動画の閲覧と言った行動を妨げられることから、毛嫌いする消費者も多いようです。

その点ステマは行動を阻害することなく、ユーザーからのアプローチで接点が生まれます。
また、同じ視点の「ユーザー」が発している情報には共感が生まれますので、効果的な宣伝になります。

上記のような点でステマが横行してしまう訳ですが、以下3つの理由からステマは行ってはいけません。

  1. 消費者のためにならない
  2. 一度信用を失うと影響が長期間続く
  3. バレる可能性が高い

1. 消費者のためにならない

商品購入の際、口コミや評価を調べることは一般的に行われています。
企業の利益追及のためにそれらが操作されてしまうと、消費者は有益な情報を得れなくなってしまいます。

ステマにより短期的な利益が上がったとしても、消費者目線を忘れて騙すような行為を続けては、長期的にビジネスの成長は見込めないでしょう。

2. 一度信用を失うと影響が長期間続く

一度ステマが発覚すると、「あの企業は消費者を騙した」という印象がついてしまいます。

ブランドに悪影響を及ぼし、すぐにイメージを回復することは難しくなります。
当然、長期間の大きな機会損失に繋がり、場合によっては回復できない可能性もあります。

また、その影響が特定企業だけではなく、業界全体に及ぶことも考えられます。
例えば有名通販サイトのレビューがステマだと発覚したら、「どうせ他もやってるでしょ」って考えちゃいませんか?
真面目にやってる所からすれば迷惑以外の何物でもないので、叩かれるのも頷けます…

3. バレる可能性が高い

「ステマ」という言葉は、2012年に流行語大賞にノミネートされたこともあり、一般に浸透しています。

実際、これまでにもTwitterで拡散され、表明・謝罪に至っているケースが多くあります。
少しでもおかしな点があれば、消費者は敏感に気づきます。

細心の注意を払って実施すればバレない可能性もありますが、そのための管理や判明したときを考えれば、リスクの方がはるかに大きくなります。

国別ステマ規制状況

ステマはどの国でもNGではありますが、法規制はそれぞれ異なります。
ここでは、日本・アメリカ・イギリスの3か国の規制状況を紹介します。

日本

日本ではステマを直接規制する法律は存在しません。
消費者庁が定める景品表示法や経済産業省の不正競争防止法などが近く、ステマを行った際該当する可能性はあります。

2011年に消費者庁から発表された「インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項」では、口コミサイトやブログに関して以下のように言及されています。

商品・サービスを提供する事業者が、顧客を誘引する手段として、口コミサイト に口コミ情報を自ら掲載し、又は第三者に依頼して掲載させ、当該「口コミ」情報が、当該 事業者の商品・サービスの内容又は取引条件について、実際のもの又は競争事業者に係るも のよりも著しく優良又は有利であると一般消費者に誤認されるものである場合には、景品表 示法上の不当表示として問題となる。

インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項 全文

ただ、具体的にどの事例が同法に違反するのかは明確ではなく、都度判断するという見解も示しています。

近年では、日弁連(日本弁護士連合会)がステルスマーケティングの規制に関する意見書を消費者庁に提出し、他国に比べて遅れている国内の規制を強めるよう提言しました。

今後、日本でもステマを直接取り締まる規制が生まれるかもしれません。

アメリカ

アメリカでは、FTC(Federal Trade Commision:米連邦取引委員会)によって、ステマは規制されています。

FTCは、Guides Concerning the Use of Endorsements and Testimonials in Advertising(広告における推奨及び推薦の利用に関するガイドライン)の中で、ステマが発生した場合は民事訴追や行政的排除措置が取られることを記しています。

上記の規制に、ステマに関する内容が追加されたのは2009年でした。
アメリカに比べると日本の法規制は10年以上遅れていることになりますね。

イギリス

イギリスでは、2008年にThe Consumer Protection from Unfair Trading Directive(不公正取引からの消費者保護に関する規制法)」が施工されました。

同法では、アメリカのFTC同様、ステマを直接禁止する文章が例文付きで記載されています。

また、他EU諸国でも2005年に制定された、Unfair Commercial Practices Directive(不公平商慣習指令)にて、直接規制をしています。

ステマの事例

最後に、日本で過去に起こったステマの事例を3つ紹介いたします。

・ペニーオークション芸能人虚偽投稿
・食べログ偽高評価・広告枠詐称
・ディズニーアナ雪2PR表記抜け落ち

・ペニーオークション芸能人虚偽投稿

ペニーオークションは、ユーザーが入札する毎に手数料が発生するオークションサービスでした。

より多く入札してもらうために、企業から報酬をもらった複数の芸能人が、落札するのが難しい高額商品を格安で落札したという虚偽の情報をブログに投稿していました。

このケースでは、詐欺容疑としてサービス運営者4人が逮捕され、関与した芸能人も謝罪やブログ一次休止という事態になりました。

・食べログ偽高評価、広告枠詐称

2012年、人気飲食店口コミ評価サイトの食べログでステマが発生しました。
サイトに掲載されている飲食店がお金を払い、自身のページに好意的な口コミを投稿するよう代行業者に依頼していたのです。

運営側が自ら関与した事件ではありませんが、結果として食べログの信用は落ちてしまいました。

発覚後、消費者庁が調査を実施しましたが、味の感じ方は主観であるため、景品表示法では摘発できず。ヤラセをもって違法とするのも難しいという結論になりました。

また、2016年にはサイト内での検索結果の表示順位の一部が広告枠で、入稿金額に基づいて決定されていることが発覚しました。

運営会社カカクコムの株価は下落、経営にも打撃となりましたが、ここでも法律違反にはなりませんでした。

批判を受けたその後、表示結果の欄に「標準【広告優先】」という表記が追加されました。
※現在では、「標準【会員店舗優先順】」という記述になっています。

・ディズニーアナ雪2PR明記抜け落ち

映画「アナと雪の女王2」公開後に、同時刻に7人の漫画家が同じハッシュタグを使って、感想漫画をTwitterに投稿しました。

Twitterユーザーの間で、ステマを疑う投稿がすぐに拡散し、話題となりました。
その後、ウォルト・ディズニー・ジャパンが謝罪文とともに、漫画家にお金が支払われたマーケティング施策だったことを表明しました。

関係者間のコミュニケーション不足により、PR・広告という表記が抜け落ちてしまったとのことでした。

このケースでも法的措置はありませんでしたが、騒動後、しばらくの間は「アナ雪2=ステマ」というイメージがついてしまっていたようです。

まとめ 

ステマはやってはいけません。
消費者を騙す行為であり、「国によっては犯罪」です。

また、日本のステマに対する法規制は厳格ではありませんが、消費者のリテラシーが高い現代では、実施には大きなリスクが発生します。

ユーザー目線とコンプライアンスの意識を持って、マーケティングを実施するようにしましょう。