DMCA-デジタルコンテンツの著作権 DMCAの現状と申請方法 – パクリサイトを検索結果やSNSから削除!

【監修】株式会社ジオコード SEO事業 責任者
栗原 勇一

Web上のコンテンツ盗用(パクリ)が増えていることをご存知でしょうか。
せっかく作ったコンテンツ、盗用されるのは嫌ですよね。
ここではデジタルコンテンツの著作権に関する基準である「DMCA」について、概要から申請方法、現在起こっている「悪用問題」まで解説します。

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DMCAとは?

DMCAは、デジタルミレニアム著作権法(Digital Millennium Copyright Act)の略称です。
デジタルコンテンツに関する著作権の基準として2000年10月にアメリカにて施行されました。
DMCA施行前は「盗用サイトの運営者」に直接申請を行う必要があり、運営者の情報がわからなければ削除申請できない状況でした。

なお、コンテンツを盗用されてしまうと、下記のようなマイナスが発生する可能性があります。

  • コピーコンテンツとしてSEOでマイナスの影響を受ける
  • 盗用サイトにユーザーが流れてしまう
  • 本来得られるリンクやサイテーション(口コミなどの言及)をとられてしまう

DMCAが施行されたことで、コンテンツ盗用に対しプロバイダに削除申請が可能になりました。
申請が通れば、盗用したサイトを検索結果から削除することが可能です。
なお、TwitterやFacebookといったSNSも著作権保護についてはDMCAを基準としています

Googleへの削除申請手順

Googleへの削除申請はSearchConsoleにある「著作権侵害による削除フォーム」から行います。
大きく分けて4つの項目を入力していきます。

■連絡先情報

・名前(姓、名)
・会社名
・自分が代理を務める著作権所有者
・メールアドレス

著作権所有者では「本人」か「代理」か選択をします。
代理申請は、該当著作権の所有者を追加する必要があります。

■著作権対象物

・著作権対象物を特定する情報とその著作物の説明
・当該著作物が許可を受けて掲載されている場所
・権利を侵害している著作物の場所

「著作権対象物を特定する情報とその著作物の説明」は詳細を書きましょう。
書き方や注意事項はフォーム内の注意書きを参考にしてください。

■宣誓供述書

・所有者、代理人、または法律による許可なく使用されている
・偽りなく、著作権所有者もしくはその代理人による申請である
・Lumenプロジェクトへ法的通知が送付および、公開や注釈追加の承認

3項目にチェックを入れます。(上記は要約で、文言はフォームと異なります)
著作権侵害への正しい申請であれば問題ない項目です。

■署名

・署名日
・署名

上記入力が全て完了したら「私はロボットではありません」にチェックを入れます。
チェックを入れ、送信したら申請完了となります。

DMCAのおかげで、(申請が通れば)プロバイダ経由で検索結果やSNSから削除することができます

もし自分が申請されてしまった場合は、SearchConsoleにメッセージが届きます。
他にLumenというサイトで確認可能です。

申請者・申請文・パクられたURL・パクったURLなど閲覧できてしまうので、DMCA申請するなら、申請内容が公開されることは認識しておきましょう。

削除申請が通るとどうなるの?

前述したとおり、削除申請が通るとGoogleの検索結果で表示されなくなります
申請結果は「著作権侵害による削除」の「削除用ダッシュボード」に数時間から数日で届きます。

また、DMCAが通るとLumenというサイトで申請内容が公開されます。

URL:https://lumendatabase.org/

DMCA申請により検索結果から削除された場合、以下の文章が検索結果の画面下に表示されます。

Google宛に送られた法的要請に応じ、このページから●件の検索結果を除外しました。
ご希望の場合は、LumenDatabase.org にてこの要請について確認できます。

SNSはそれぞれ異なりますが、Twitterでは下記のようなメッセージが届くようです。

Twitterからのお知らせです。
ご利用のアカウントは、著作権侵害の申し立てが複数あったことから凍結されました。該当するコンテンツが誤って著作権侵害と見なされたか削除されたと思われる場合は、申し立ての撤回を求めるか、あなたが受け取った削除請求通知に対する異議申し立て通知をTwitterに送ることで、ご利用のアカウントを元に戻せる可能性があります。

また、Googleは検索結果からの削除以外にも著作権侵害に対する取り組みを公開しています。

DMCAにおけるGoogleの取り組み

Google「著作権侵害対策資料」にてDMCAに関する取り組みが紹介されています。
いくつか抜粋し、紹介致します。

削除通知(DMCSシグナル)のランキングへの活用

Google は、著作権保有者からの通知を受け検索結果からページを削除することに加えて、一定のサイトに関して受け取る著作権侵害による削除通知の有効件数を、検索結果のランキングを考慮する際の数百ものシグナルのうちの 1 つに織り込んでいます。その結果、Google が有効な著作権侵害による削除通知を大量に受け取っているサイトに関しては、検索結果の下位に表示されるようになっています。

引用元:著作権侵害対策資料

有効となった削除通知の件数は「パクリサイトの判断基準」として活用され、検索順位にも影響を与えているようです。
Googleはユーザーに対し、合法で質の高いコンテンツの提供を目指しています。
盗用を行うサイトをユーザーの目から遠ざけるのは、自然な対応と言えそうですね。

削除通知(DMCSシグナル)のFollow the Moneyへの活用

著作権侵害行為に対処する効果的なもう 1 つの手段として、著作権侵害サイトの収入源を断つ「Follow the Money」が挙げられます。英国の知的財産犯罪捜査チーム(PIPCU)の推定によれば、広告収入を遮断することで、著作権侵害サイトの 95 %は閉鎖を余儀なくされるとのことです。

引用元: 著作権侵害対策資料

Googleの広告から著作権侵害サイトを排除、収入源を除外する取り組みです。
ただ検索結果から削除するだけでなく、オンライン著作権侵害への様々な取り組みを行っていることがわかります。

削除に応じないケース

DMCAへの申請が行われた際、必ず削除に応じる訳ではありません。
先ほど紹介した著作権侵害対策資料内にいくつか「申請に応じないケース」が掲載されています。
一部抜粋になりますが、下記のようなケースになります。

イギリスのある自動車教習所は、競合他社がサービス提供地域のアルファベット順リストをコピーしたと主張し、その教習所のホームページを検索ネットワークから削除するよう依頼してきました。

引用元: 著作権侵害対策資料

アメリカのある企業は、従業員が個人ブログで不当な処遇への不満を綴っているため、そうしたコンテンツとリンクする検索結果を削除するよう依頼してきました。

引用元: 著作権侵害対策資料

見る限り、当たり前と言えそうですね。
条件なしで対応してしまったら、有益なコンテンツまで削除対象になってしまいます。

ですが、実態としてDMCAは「悪用」が多く確認され、問題となっています
次のセクションでDMCAの悪用について解説致します。

DMCAの現状 – 悪用の現実

DMCAによる検索結果からの削除申請は2015年だけで5億5,800万URLとGoogleから公開されており、申請されたURLの98%以上を実際に削除しています。
また、この記事を執筆している2019年9月時点での除外リクエスト状況は下記になります。

除外がリクエストされたURL:4,233,934,577
指定されたドメイン:2,552,904
著作権者:184,860
申立団体:172,698
著作権問題によるコンテンツの除外-透明性レポートより

膨大な申請が全て理にかなった正しいものであれば良いのですが、中にはDMCAの仕組みを利用した悪用も存在しています
代表的な悪用の例は「悪評の隠蔽」です。
要するに「都合の悪い情報はDMCAを理由に、検索結果やSNSから消しちゃう」わけです。

DMCA悪用手法イメージ

ロゴや人物の画像を無断で使用することは、確かに著作権侵害に当たります。
ですが、悪評を隠すことを目的にDMCAを申請した場合は問題です。
実際、許されない行いとして信頼性や倫理感を疑われてしまう事例も見受けられます。

画像のような手法で申請が通ってしまうと、「著作権侵害から守る」という目的とは離れて、検索結果やSNSからコンテンツが消えてしまいますね…

DMCAは著作権侵害からコンテンツを守り、検索結果やSNSの環境を良くするために存在します。

仕組みの悪用で都合の悪い情報が削除できてしまうのは問題です。もし、不当に削除されてしまった場合には、 異議申し立てをすることができます。SearchConsoleでのGoogleからの通知から可能なはずです。


全体の流れは下の画像みたいな感じです。 [/balloon]

DMCAの手順

異議が通れば復活できますが、著作権侵害に該当していたら異議は通りません。また、該当コンテンツを削除してから異議申し立てを行っても、認められません。

そもそも著作権侵害は絶対しちゃいけないということを認識しておくようにしましょう。

まとめ

サイト運営者との連絡がとれなくても、コンテンツ盗用に対応できることは大きなプラスです。
コンテンツの盗用を見つけた際すぐに動けるように、DMCA申請の手順は覚えておくといいですね。
また、言うまでもありませんが盗用・悪用は絶対にやめましょう!
DMCAは著作権侵害を防ぐための基準であり、都合の悪い情報を削除するツールではありません。