CMSの種類は?使用するメリット・デメリットや選定する際のポイントを解説
2024年9月2日
東証スタンダード上場企業のジオコードが運営!
Web制作がまるっと解るWebマガジン
【監修】株式会社ジオコード Web制作事業 責任者
高松 建太郎
Movable Typeは、Web制作に関する専門の知識がなくても簡単にWebサイトを構築・運用できるCMSの一つです。世界的にシェアが大きいCMSにWordPressがありますが、Movable Typeとどのような違いがあるのか、分からない方も多いでしょう。
本記事では「Movable TypeとWordPressどちらを導入すべき? 」とお悩みの方に向けて、Movable Typeの機能や種類、WordPressと比較したMovable Typeのメリット・デメリット、導入方法を解説します。Movable Typeの特徴を理解して、自社に合ったCMS選びの参考にしてください。
目次
Movable Typeは、2001年に米国サンフランシスコで創業したソフトウェア会社シックス・アパート(Six Apart Ltd.)が開発したCMSの一つです。2015年度から9年連続で商用パッケージ型CMSの国内導入シェアはNo.1となっています。個人ブログのような小規模サイトから、大企業・公官庁・教育機関などの大規模サイトにまで幅広く利用されています。
現に、日経平均株価の構成銘柄として選ばれている225社のうち、半数以上の企業がMovable Typeのライセンスを登録している状況です。約300社にものぼる経験・実績豊富なシックス・アパートのパートナーProNetによるサポートも受けられるので、トラブルが起きても相談できる環境が整っています。
次に、Movable Typeの機能について紹介します。
Movable Typeの代表的な4つの機能を紹介します。
Movable Typeタイプ独自の機能により、データの取得・管理やセキュリティ管理がしやすい特性も持っています。では4つの機能それぞれの解説を見てみましょう。
Movable Typeのコンテンツ機能は、従来の「記事」や「ウェブページ」に加え、Movable Type7より導入された新しい投稿形式です。この機能の特徴は、ユーザーが自由に入力フィールドを設定でき、コンテンツの作成や管理を柔軟に行える点にあります。
コンテンツタイプは、記事のように時系列で情報を蓄積したり、ウェブページのように個別に管理したりと、両方の特性を兼ね備えています。これにより、さまざまな種類のコンテンツ効率的に管理・作成することが可能です。
入力したデータをそのまま出力したり、他のコンテンツタイプとリンクさせたり、一度作ったデザインを他の場所に使いまわしたりできるので、一つだけでなく他のコンテンツも合わせて効率よく管理できます。
ただし、初期状態ではコンテンツタイプにデータを入力するフィールドは用意されていません。自分で設定するのは難しく感じるかもしれませんが、自分に必要なだけフィールドを設定できるので、無駄のない編集画面の作成が可能です。
Movable Typeは、コンテンツを事前に静的HTMLページとして生成するのが特徴です。
ユーザーが記事や固定ページを作成・更新すると、システムが自動的に静的HTMLページを生成します。訪問者がサイトにアクセスする際、サーバーはあらかじめ用意されたHTMLページをそのまま提供するため、表示のたびにデータベースにアクセスする必要がありません。
この方式により、サーバーの負荷を軽減できるので、アクセスが集中した場合にも影響を受けにくく、安定した速度でWebサイトを表示できます。特にアクセスが多いWebサイトには役立つ機能です。また、データベースにアクセスする頻度が少ないので、セキュリティ対策がしやすいことも特徴の一つです。
Data APIはMovable Type 6から搭載している機能で、記事やページなどのデータの取得や更新ができるAPIです。あらゆるプログラム言語からREST/JSON方式でMovable Typeにアクセスします。
Data APIを使うと独自の管理画面やアプリを開発できたり、他のWebサイトやアプリケーションと簡単に連携できたりする他、フロントエンドとバックエンドを分離したヘッドレスCMSの利用も可能になりました。
APIを通じてデータを提供するため、Webサイトだけでなく、モバイルアプリやデジタルサイネージ、印刷物など、さまざまなデバイスや出力形態に対応したコンテンツ管理を実現できます。
MTタグは、Movable Typeで使用される独自のタグです。HTMLだけでテンプレートを作成するよりも、ウエブサイト名や記事内容などのさまざまな情報を効率的に管理・更新・応用ができます。
例えば、Webサイト名を変更する場合にMTタグ(<$mt:SiteName$>)を使用しておくと「名前」を設定しなおすだけで該当箇所を一斉に変更可能です。MTタグには大きく分けて2種類あり、これをファンクションタグと言います。もう一つはブロックタグと言い、条件に応じて繰り返したり、条件を満たす場合に処理を実行したりできるタグがあります。
MTタグは400種類以上と豊富に存在し、使いこなすことで柔軟性の高いコンテンツ管理が可能です。
Movable Typeの種類と違いについて紹介します。
Movable Typeの種類には「Movable Typeソフトウェア版」「Movable Typeクラウド版」「MovableType.net」「AMI(Amazon EC2用)」「個人無料版」の5つがあります。必要な機能や要件、長期的に見たコスト面によっても選ぶべきMovable Typeの種類は異なります。下記は種類と料金をメインにまとめた表です。
ソフトウェア版 | クラウド版 | MovableType.net | AMI版(Amazon EC2用) | 個人無償版 | |
---|---|---|---|---|---|
料金(税込) | 99,000円(初年度)※標準プランの場合 | 月額5,500円~ | 月額2,750円~(年間一括27,500円~) | 1時間0.07ドル(年間一括499ドル)※ t2.nano および t2.micro インスタンスでの利用は無料※EC2その他AWSの利用料が別途必要 | 無償 |
テクニカルサポート | あり:年間33,000円(2年目以降)※標準プランの場合 | あり:月額料金に含む | あり:月額料金に含む | 別売り年間一括11,000円 | なし |
トライアル | 30日間無料 | なし | Webサイトごとに14日間無料 | 7日間無料 | なし |
サーバー | 必要 | 不要 | 不要 | 不要※Amazon EC2を利用 | 必要 |
以下に各種類の特徴について詳しく説明するので、料金とあわせて自社に合ったプラン選びの参考にしてください。
*2024年9月2日時点の情報です
Movable Type のソフトウェア版は、買い切り型のソフトウェア・パッケージです。
すでに持っている自社のサーバーにインストールして使用し、豊富にあるプラグインやソリューションのインストールでより高度にカスタマイズできます。
グループ会社で共同利用したい場合には、社内システムと連携するのにぴったりなMovable Type Advancedプランもあります。1ライセンスで複数のサーバーへのインストールも可能なので大規模な運用に最適です。
Movable Typeのクラウド版はクラウドにインストールされた最新版のMovable Typeを利用できるサービスで、別途サーバーを用意する必要はありません。
サーバーの管理からセキュリティ対策、CMSのバージョンアップなどもシックス・アパートが行うのでWebサイトの運用に専念できる他、メンテナンスコストも抑えられます。
また、環境をMovable Typeに最適化しているので管理画面の表示スピードが早く、別途サーバーの用意が必要なソフトウェア版の約1.6倍の再構築スピードでより高い快適性を実現可能です。さらにソフトウェア版のMovable Type Advancedにある機能「サーバー配信機能」がついており、外部サーバーにCMSをインストールすることなくコンテンツを公開できます。
なお、クラウド版は法人や個人事業主にのみ提供されるサービスである点に注意しましょう。
MovableType.netは、初期費用を抑えたい方やWebコンテンツ制作に関してあまり知識のない初心者、個人でWeb制作をしたい方に最適なSaaS型のサービスです。
基本的に静的生成であるソフトウェア版やクラウド版では再構築が必要な場面でも、MovableType.netは動的生成のため再構築が不要です。プラグインの追加はできませんが標準装備が手厚く、元々備わっている機能だけでも見栄えのよいWebサイトを作れます。
またスマートフォンやタブレットなど、画面サイズに応じたWebサイトを作成でき、ほとんどの機能はスマートフォンから更新や閲覧が可能です。クラウド版同様サーバーの用意は必要なく、セキュリティ対策やアップデートもシックス・アパートが行います。
Movable TypeのAMI版は、AmazonのクラウドサービスであるAWS(Amazon Web Services)を使って簡単にMovable Typeを始められるサービスです。
AMI版にはMovable Typeがすでにインストールされており、Movable Typeを使い始められるように、さまざまな設定や調整が行われた状態で提供されます。AWS上で簡単にWebサイトの運営をスタートできるので、ITに詳しくない方でも手軽に利用可能です。
またAWSのt2.micro(マイクロ)インスタンスを利用の場合は、一定の条件下であれば無料でMovable TypeのAMI版を利用できます。利用制限はありますが、Movable Typeを体験するのによいでしょう。
Movable Typeの個人無償版は、その名のとおり、個人で利用する場合にのみ無償で利用できるMovable Typeのサービスです。
例えば、個人が持っているレンタルサーバーを使って、個人的なWebサイトを作ったりブログを書いたりする場合などに使えます。ユーザー数や作成するWebサイト数は無制限です。アップデートも無料で行われる他、個人利用であればアフィリエイトを行うことも問題ありません。
しかし法人や団体、個人事業で使う場合には、ブログの内容が何であれソフトウェア版やクラウド版などの有償のライセンスが必要になります。無料で始めたい場合はソフトウェア版やMovableType.netにあるトライアルを申し込んでみるのも一つの方法です。
Movable Typeのメリットとデメリットを、市場シェアトップのWordPressを利用する場合と比較して紹介します。
メリットとデメリット両方を理解して、どちらが自分にとって適切なCMSか考えてみましょう。
Movable Typeの有償プランでは、トラブルが発生した場合に公式のテクニカルサポートが開発元のシックス・アパートより提供されています。ソフトウェア版(標準プラン)では初年度のライセンス購入時に1年間のサポートがついており、毎年更新料を支払うことで、引き続きサポートが受けられる仕組みです。
また、クラウド版やMovableType.netでは、月額料金の中には公式のテクニカルサポートが含まれているため、契約している限りはサポートを受けられます。
WordPressは基本的に公式サポートがついていないため(有料版を除く)、サポートサイトやコミュニティフォーラムなどを利用して、自分で調べなければなりません。
Movable Typeはソースコードが非公開なため、WordPressのようなオープンソースのCMSと比べて安全性が高いことが特徴です。無償で提供されている多くのオープンソースCMSでは、誰もが内部構造を観覧・編集できますが、Movable Typeはソースコードが非公開であるため内部構造を知るのが難しく、脆弱性を発見しにくくなっています。
また、ライセンス料の支払いにより継続的なセキュリティ対策やテクニカルサポートが受けられるため、セキュリティ面を重視してWebサイトを構築したい場合はMovable Typeを検討するとよいでしょう。
Movable Typeは、CMS一つあれば複数のWebサイトを作成できることが特徴です。
基本的に無料のWordPressでは一つのデータベースに対して一つのWebサイトしか作成できません。WordPressで複数作成するためにはWebサイトの数だけサーバーを用意する必要がありますが、Movable Typeは複数のWebサイトの効率的な管理が可能です。
Webサイトの数だけライセンスを購入する必要がないので、コスト削減にもつながります。
Movable Typeにはデフォルトで動的・静的両方のページが作成できる機能が備わっています。
静的ページへのアクセスの際はデータベースから情報を取り出す必要がないため、アクセスが集中したときでもページ速度を早く保てるのが特徴です。一方、動的ページの生成に特化しているWordPressは、ページへのアクセスごとにかかるサーバーへの負荷は避けられません。
Movable Typeは動的・静的両方の生成が可能なため、ページの特性に合わせて柔軟に対応できます。また、サーバーにアクセスする頻度が減ることで、不正アクセスのような攻撃も避けることができ、セキュリティ対策にも効果的です。
商用でMovable Typeを利用する場合は、有償のライセンスを購入する必要があります。
個人利用であれば無償のプランもありますが、法人が利用する場合はソフトウェア版で初年度99,000円から、クラウド版で月額5,500円からと、無料で利用できるWordPressと比べると費用面がデメリットと感じる場合もあるでしょう。
しかし、企業それぞれの用途や予算によって最適なプランを選べたり、公式サポートを受けられたり、そして高いセキュリティが用意されている点など、有償だからこその機能面のメリットがあることも事実です。大規模な事業に効果的な機能が用意されていることから、2015年から9年連続で商用パッケージ型CMSに国内導入シェア1位の実績があり、大企業や教育機関など幅広い層に支持されています。
Movable Typeのデメリットの一つとして、プラグインの数が少ないことが挙げられます。
プラグインとは、新しい機能を追加することによりWebサイトの機能を拡張させたり、自由度や操作性を高めたりできるプログラムのことを言いますが、WordPressと比べると数が少ないため物足りなさを感じる場合もあるでしょう。
しかし、Movable Typeには独自のテンプレートタグであるMTタグでさまざまな表現ができるため、WordPressほど多くのプラグインを必要としません。またMovable Typeが提供するほとんどプラグインは、シックス・アパートのパートナーが提供しているため安心して利用できます。
Movable Typeのデメリット3つ目は、Movable Typeを扱える制作会社が少ないことです。
Webサイトの規模や社内に専門知識のある方がいるか否かによっては、制作会社に構築を任せることもあるでしょう。しかし、世界そして国内ともに大きなシェアを誇るWordPressの制作会社の数に比べると選択肢が狭まる上、Movable Typeに関する情報も少ないのが現状です。
そのため、有償版に含まれる公式サポートや、全国に約300社あるProNetと呼ばれるシックス・アパートのパートナーによるサポートを活用しましょう。
Movable Typeのソフトウェア版を導入する方法を紹介します。Movable Typeをインストールするためにはいくつかの事前準備が必要です。ソフトウェア版の場合は自分でサーバーの用意もしておきましょう。
なお、クラウド版であればサーバー不要で利用可能です。
本記事ではMovable Typeの機能や種類の違い、利用するメリット・デメリットを解説しました。個人ブログのような小規模サイトから大規模サイトまで幅広く利用されているMovable Typeは、セキュリティ対策やグループ会社との連携を重視したい中規模から大規模サイトを作成したい場合に、特におすすめのCMSです。
開発元であるシックス・アパートや、経験・実績豊富なパートナーによるサポート体制も整っているので、問題が発生した場合でもすぐに相談できます。
「自分で作成するのは難しそう」「公式に相談してみたけどよく分からない」とお悩みの場合は、Web制作会社に相談してみてもよいでしょう。