セルフブランディングイメージ

セルフブランディングとはどういう意味?メリットや自己分析の方法についても解説

【監修】株式会社ジオコード Web制作事業 責任者
高松 建太郎

セルフブランディングとは、自分自身をブランド化することを意味します。これは、フリーランスや個人事業主など、個人で活動している方にとって重要な戦略ですが、具体的な方法が分からない方も多いかもしれません。

本記事では、セルフブランディングの定義、メリット、自己分析の方法について解説します。

セルフブランディングとは?

まず、セルフブランディングの意味と、それがなぜ必要とされているのかについて解説します。

セルフブランディングの意味は自分自身のブランド化

セルフブランディング(Self Branding)の「self」には、自分自身、個人といった意味があります。
セルフブランディングとは、個人で活動する人が自分をブランドとして捉え、その価値を高めるための活動です。

つまり、個性やスキル、経験などを商品やサービスのように考え、多くの人に知ってもらい、選んでもらえるように魅力を高めていくのです。市場におけるブランド価値は、一般的に認知度や顧客満足度、品質などで決まりますが、セルフブランディングにおいてもそれは同様です。

セルフブランディングが必要とされる理由

特にフリーランスや個人事業主にとって、セルフブランディングはビジネスを成功に導くための重要な要素となります。

セルフブランディングで自分の強みや特徴を明確にすることで、より効果的に自己をアピールできるようになるためです。これは、仕事の選択肢や新たな人脈の増加にもつながります。

さらに、セルフブランディングは市場での競争力を高め、他人との差別化を可能にします。その結果、新しい仕事やプロジェクトの機会が増え、キャリアアップの可能性も広がるでしょう。

また、自分の強みを認識し、適切にアピールすることで、自信も自然と育まれていきます。このように、セルフブランディングは個人の成長とキャリア発展の両面で重要な役割を果たし、市場価値を高める効果的な手段となるのです。

セルフブランディングと混同されやすい言葉

ビジネス・マーケティングに関する言葉で、セルフブランディングと混同されやすい言葉に、パーソナルブランディングとセルフプロモーションがあります。それぞれの特徴や意味、セルフブランディングとの違いについて解説していきます。

パーソナルブランディングとの違い

セルフブランディングとパーソナルブランディングの大きな違いは、組織に属しているかどうかです。先述のとおり、セルフブランディングはフリーランスや個人事業主といった、組織に属していない個人の戦略を指します。

対して、パーソナルブランディングは、個人という点では変わりませんが、基本的に組織に属している人が行う戦略です。具体的には、企業・団体などの経営者や運営者、従業員が行うブランディング戦略を指します。組織内で信頼を獲得したり、地位や仕事を得るためにはパーソナルブランディングが必要です。

セルフプロモーションとの違い

セルフブランディングと似た言葉には、セルフプロモーションもあります。セルフブランディングとセルフプロモーションの違いは活動の範囲・目的です。

セルフブランディングもセルフプロモーションも、個人の活動には違いありません。ただし、セルフブランディングはブランド力を高めていくことで、セルフプロモーションはすでにあるブランドの販売促進・集客のためのPR活動といった目的の違いがあります。セルフブランディングを行った後に、セルフプロモーションを行うのが自然な流れであることを覚えておきましょう。

セルフブランディングの6つのメリット

次に、セルフブランディングのメリットを6つに分けて解説します。メリットを知ることで、セルフブランディングの知識を深めてみてください。

1. 競合と差別化できる

セルフブランディングの大きなメリットの1つが、競合との差別化が図れることです。自己分析を経て見つかった自分の強みを最大限にアピールできれば、おのずと周りと差をつけられます。十人十色という言葉があるとおり、この世にまったく同じ人はいません。きっちりセルフブランディングをしているほど、差別化に成功できるでしょう。

また、全てのフリーランスや個人事業主がセルフブランディングを行っているわけではありません。強みがあっても市場で認識されなければ、強みがないのと同じです。同じ強みがある同士なら、自分自身の実績やストーリーがしっかりしている方を信頼するのが顧客心理です。

2. ファンを増やせる

セルフブランディングで差別化に成功すると、ファンを増やすことも可能です。ファンが増えると、金銭的な援助を受けられたり、活動をしていく上での大きな励みになったりするでしょう。

「この人にお願いする価値がある」「この人でなきゃ」と思ってくれる人が増えれば、リピーター・固定客も増えてきます。気に入ってくれた顧客が、市場をさまようことなく依頼してくれるようになれば、競争社会で勝ち抜くことにもつながるでしょう。

3. 集客力・発信力が高まる

セルフブランディングの成功でファンがつくと、知名度が上がり集客と発信の力が高まります。注目度が増すと同時に、ファンの口コミがさらなるファンを呼ぶかもしれません。芸能人や専門家など、知名度がある方にファンについてもらえるとなおさらです。

また、注目されるようになると、新商品や新サービスを展開した際により高い売り上げが期待できるだけでなく、さらなる認知の広がりが見込めるメディア取材・掲載の機会も増加します。

4. 顧客との距離が近くなる

セルフブランディングを行うと顧客との距離が近くなり、注目されやすくなります。セルフブランディングでは、自分自身の生い立ちや人柄も発信していくことになります。ただのビジネスプレーヤーではなく、一人の人間としての親しみやすさを覚えてもらえるでしょう。

ユーザーは距離の近さを感じると、気軽に問い合わせたりセミナーに参加したりしやすくなります。

5. ビジネスチャンスが増える

セルフブランディングは、ビジネスチャンスの獲得にも一役買ってくれます。効果的なセルフブランディングで注目を集められるようになると、企業側の目にも留まりやすくなり、キャリアの可能性が大きく広がるでしょう。

特に、マーケティングに力を入れている企業は、顧客の支持を得られる人材に高い関心を示す傾向にあります。セルフブランディングが成功すれば、自分一人では得られなかった仕事のチャンスや、大手企業とのコラボレーションの話が舞い込む場合もあるでしょう。

6. 利益率が上がる

質や満足度を重視する顧客が増えれば、競合より高い価格でも購入される可能性が高まります。その結果、利益率が上がり、収入の安定にもつながるでしょう。

フリーランスや個人事業主にとって、収入の安定は何物にも代えがたいものです。また、自分から営業をかけなくても声がかかるようになれば、広告費や宣伝費が抑えられることもメリットです。

セルフブランディングのやり方【準備編】

セルフブランディングを行う場合、下準備として自己分析が欠かせません。フリーランスや個人事業主にとって、どのような商品・サービスを売っていくかも必要ですが、どのような方法でどうアピールしていくかが重要です。セルフブランディングの準備編として、まず自己分析の方法を解説します。

STEP1. 自己分析を行い、自分の好きなことや強みを把握する

セルフブランディングの基本は自己分析です。まずは自分自身とじっくり向き合い、以下のことを書き出してみましょう。

  • 自分の強みと弱み
  • 自分が好きなこと嫌いなこと
  • どのようなことに興味・関心があるのか
  • 人生における目標や夢
  • 物事に対する考え方(価値観や方向性)
  • 得意分野や専門知識、スキル、資格など

自分の好きなことや強みを把握する上で、嫌いなことや弱みを洗い出します。自分の好きなことが分からなくても、嫌いなことや苦手なことは分かる方も多いです。自分がマイナスの感情を抱いている対象を把握することで、避けるべき商品やサービスも見えてきます。自分が苦手なものを選ぶのは非効率なので、しっかりと自己分析をしていきましょう。

STEP2. セルフブランディング用シートを作成する

自己分析の結果は、セルフブランディング用のシートに当てはめていくとうまくまとまります。シートはワードやエクセルなどを活用して自作する他、オンラインでダウンロードできるテンプレートを活用するのも一手です。

自作する際は自己分析で洗い出した項目に加え、名前や連絡先といった個人情報とフリー記述の自己紹介、経歴・実績の記入欄を設けておくとスムーズです。

STEP3. セルフブランディング用シートに記入する

セルフブランディング用シートが用意できたら、実際に書き込んでいきましょう。洗い出した内容をそのまま書くのではなく、ポイントごとにフレーズ化するのがおすすめです。実績を元にした唯一無二の肩書き(キャッチコピー)をつけておけば、顧客の記憶にも残りやすくなり、差別化にも成功しやすくなります。

また、プレゼンテーションや自己アピールでシートを他者に見せる機会があるなら、文字の色や種類、画像やイラストの配置などにも気を配り、見た目にも魅力的なセルフブランディング用シートを目指しましょう。

セルフブランディングのやり方【実践編】

自己分析とシートの作成を終えた後は、いよいよセルフブランディングを実践していきます。セルフブランディングを実践するための主な手順は、ブランドの方向性決め・プロフィールの作成・情報発信です。一つずつ詳しく見ていきましょう。

STEP1. ブランドの方向性を決める

セルフブランディングの実践として、まず取り組むのがブランドの方向性を決めることです。ブランドをどの市場で展開するかを決め、その市場に適したブランドをどう作るかを考え、顧客ターゲットとゴールを設定していきます。

市場リサーチ

セルフブランディングの要と言えるのが、市場リサーチです。自己分析を経て見つかった、自分自身の強みやスキルが求められそうな市場を探していきます。やみくもに市場を選定しアピールしていっても、需要がなければ供給する必要がありません。

市場の候補が見つかったら、見込める顧客数や収益、競合を調査しましょう。すでに競合が多い市場に出ても、埋もれてしまう可能性が高くなるため要注意です。リサーチには時間と労力を惜しまずに取り組みましょう。

顧客ターゲットを決める

参入できそうな市場が見つかったら、次は顧客ターゲットを設定していきましょう。年齢や性別といった基本的な特徴だけでなく、以下のように細かくペルソナを設定しておくと後々役立ちます。

  • 年齢、性別
  • 住んでいる地域
  • 家族構成
  • 職業
  • 収入
  • 性格
  • ライフスタイル
  • 価値観
  • 趣味
  • 興味のあること
  • 悩みや不満
  • 夢や目標

例えば、美容クリームを売りたい企業をターゲットにするとしたら、ペルソナは「こだわりの成分で作り上げた美容クリームを売りたいけれど、魅力を伝えるのに十分なライティングスキルを持った人材がいない」などです。ターゲットの選定に迷ったら、自分は「どのようなターゲットの役に立ちたいのか」「お悩みを解決したいのか」を考えてみると分かりやすいでしょう。

上記の特徴に加えて、自身の目的や思いを書いておくと、より方向性が定まりやすくなります。

顧客のゴールを決める

ターゲットを絞り込んだら、次はその商品・サービスで「顧客にどのような変化や効果をもたらせるか」を考えていきます。上記の美容クリームを売りたい企業をターゲットとする場合であれば、「クリームが1分間に1個売れる文章を書く」などです。

顧客がその商品やサービスを利用することで得られる具体的な結果や変化をしっかりと示すことで、より効果的に興味を引き、顧客の心に響きやすくなります。

STEP2. プロフィールを作成する

ブランドの方向性を決めたら、次はプロフィールの作成です。準備編で行った自己分析を基に、自分はどのような人でどのようなことができるのかを言語化していきましょう。

専門分野の決定

まず、セルフブランディング用シートの得意なことや好きなことの項目に目を通して、自分の専門分野を確定させます。専門に扱うのが1つなら問題はありませんが、複数ある場合はメインとなるものを決めましょう。

専門分野は複数ある方が強いと思うかもしれませんが、例えば「自分はグラフィックデザインと動画編集、写真撮影の……」と羅列すると、各々の印象が薄くなってしまいます。メインの専門分野は1つに絞ることをおすすめします。

ストーリーの作成

プロフィールを作成する上で、特に重要な項目がストーリーです。ストーリーとは、自分自身の過去・現在・未来のことを指します。「自分はどのような経験を経て現在の取り組みをしており、どのような目標を持っているのか」という経緯を、アピールする商品・サービスに絡めて書くのが理想です。

プロフィールの肝となる部分であるため、自分の思いがターゲットに届くよう、順序立てて分かりやすく書きましょう。

STEP3. 情報を発信する

ブランドの方向性決め・プロフィールの作成が完了したら、いよいよ情報を発信していきます。ターゲットを常に意識しながら、どのようにアピールすれば効果的か、どのような見せ方が響くかを考え、行動しましょう。

発信方法の選定

情報を発信する上で、大事なのがツールの選定です。SNS一つとっても、近年ではさまざまな種類があります。自分が使いこなせるかはもちろん、顧客がどれほどそのツールを利用しているかを重視するようにしましょう。市場と同じく、ターゲットが少なければ効果は薄れてしまいます。

SNSもブログも、注目されるためにはライティング技術やマーケティング力が必要です。適切なメディアを選んだとしても、ライティング技術やマーケティング力が不足していると、十分に注目されないことがあります。発信メディアを選ぶ場合は、無理なく運用できるようどれか一つのツールに絞り、運用に必要なスキルについても学んでおくことをおすすめします。

メディアの立ち上げ

発信方法が決まったら、実際にメディアの立ち上げにかかります。メディアは、上記で説明したSNSやブログだけではありません。効果を高めるためには、大きく分けて以下の3種類のメディアを使い分ける必要があります。

  • 成約メディア(ホームページ、ランディングページ、ECサイト など)
  • 集客メディア(SNS、ブログ、YouTube など)
  • コミュニティメディア(公式LINE、メルマガ)

成約メディアは、あなたと顧客をつなぐ窓口となるメディアです。また、集客メディアで顧客を集め、コミュニティメディアで顧客との関係性を築いていきます。いずれもゴールは、自分への仕事の依頼です。

実績の提示

メディアを構築する上で、欠かせないのが実績の提示です。先述のとおり、肩書きやストーリーは大事ですが、全ての人に響くとは限りません。実際にどのような商品・サービスが届くのかが分かるようにするためには、自分が実際に提供したサービスや制作物をそのまま提示するページを設けるのが効果的です。

実績は顧客からの信頼獲得にも役立ちます。提示できる実績がまだない方は、まず実績を作るところから始めましょう。

セルフブランディングの5つの注意点

セルフブランディングは自分自身をブランドとして捉えるからこそ、気を付けなければならないポイントがあります。セルフブランディングの注意点を5つチェックしておきましょう。

1. コンセプトにブレが生じないようにする

まず注意したいのが、コンセプトにブレがないことです。市場での差別化を図る上で、重要なのが人柄やストーリーです。「自分自身に関わることだからブレることはない」と思うかもしれませんが、考え方や言葉選びによっては一貫性がないと思われかねません。

コンセプトにブレがあると、築き上げた信頼が揺らぐ可能性があります。セルフブランディングに成功するほどに影響力が増すため、発言や発信には注意しましょう。なお、コンセプトに変化がある場合は、一言前置きしておくのがおすすめです。

2. 自分本位にならない

2つ目の注意点が、自分本位になりすぎないことです。自分で見つけた自分の強みをアピールすることは大切ですが、顧客や協力者の視点や意見も取り入れるようにしましょう。過度に自分本位なセルフブランディングを行うと、「わがままだ」と思われる可能性があります。周りの意見に耳を傾けてこそ、ニーズが分かり、セルフブランディング成功に近づけるのです。

また、他者を遠ざけることは人間関係にも悪い影響を及ぼします。セルフブランディングにおいて人脈は命綱とも言えるため、自分一人で進めすぎないよう要注意です。

3. 業界全体のトレンドを無視しない

業界全体のトレンドを無視しないことも大切です。ありのままの自分を売り出したいからといって、言葉遣いやデザインが古風であったり、陳腐だったりすると「古臭い」「痛い」と思われかねません。

「それが自分の得意分野であり好きなこと」と自己分析していても、顧客が引いてしまうようであれば見直しが必要です。自分自身の本質を生かしながら、新しい考え方やビジネスモデルなども取り入れられるようにしましょう。

4. 見た目をおろそかにしない

自分にどれだけすごいスキルがあっても、あまりに見た目をおろそかにしていると顧客のイメージが崩れてしまう可能性があります。特に女性の顧客にとって、見た目は重要視されるポイントの1つです。セルフブランディングにおいて、見た目も評価につながることを覚えておきましょう。

見た目に加え、立ち居振る舞いやコミュニケーションにも気を配り、全体的に評価を高められると理想的です。

5. 過剰演出に気を付ける

セルフブランディングは、自分自身を飾り立てることではありません。「ブランド化」というと少し大げさな印象を持つかもしれませんが、市場に売り込んでいくのは実際の自分自身です。

例えば、「秒で◯万稼げる」や「登録するだけで報酬が入る」といった、実力を超えた戦略はセルフブランディングとしては誤りです。たとえ一時的に成功したとしても、継続できなければ信頼を得ることはできず、リピーターも増えません。あくまで等身大の自分自身が相手に提供できる価値を示す必要があります。

セルフブランディング成功のカギは自己分析と一貫性

自分自身をブランド化し、売り出していくセルフブランディングは、成功すればファンの獲得や、集客力の向上といったメリットがあります。個人で勝負するフリーランスや個人事業主にとって、セルフブランディングは避けて通れない道といっても過言ではないでしょう。

セルフブランディングを成功させるためには、自己分析で「自分には何ができるのか」「誰をどうしていきたいのか」を明確にすることが大切です。さらにその軸がブレないよう、一貫性をもたせることを意識しましょう。自分の力で成功を収めたい方はぜひ実践してみてください。