UXデザインの成功事例6選!導入のメリットや具体的な改善方法を解説!イメージ

UXデザインの成功事例6選!導入のメリットや具体的な改善方法を解説!

【監修】株式会社ジオコード Web制作事業 責任者
高松 建太郎

物が溢れている現代では、商品やサービスを通してどのような価値や体験が得られるのかが重要視されています。より良い価値や体験を引き出すためには、UXデザインに注力して商品やサービスを訴求するのが重要です。

本記事では、UXデザインの成功事例を6つ紹介します。UXデザインの基礎知識や改善方法も解説しているため、ぜひ読み進めてみてください。

UXデザインとは?

UXデザインとは、ユーザーがサービスや製品を利用した際に得られる体験や印象を引き出すためのデザインです。UXとは、User Experience(ユーザーエクスペリエンス)の略語になります。

例えば、洋服を購入したいユーザーが通販サイトを使用したときに、商品購入までのステップが簡単で効率が良かったとポジティブな感情を抱くのは、UXデザインによって生み出された効果です。

デザインと聞くと、サイトの見栄えや色合いだけを重視すればよいと思いがちですが、UXデザインはユーザーのニーズに寄り添いながらサイトを設計し、商品や製品を通してユーザーに付加価値や良い体験を与える役割を果たします。

UXデザインによってユーザーが商品やサービスに良い印象を持てば、定期的な利用や売上アップにもつながるため、ビジネスでは重要な要素です。

UXデザインとUIデザインは意味合いが異なる

UXデザインとUIデザインは、同じデザインの分野に属していても意味合いが異なります。

  • UXデザイン:全体の使いやすさ・便利さに焦点を当ててデザインする
  • UIデザイン:全体の見た目・操作に焦点を当ててデザインする

例えば、バッグを購入したいユーザーが通販サイトを利用したときに「バッグのカラーやサイズが見やすくて、購入ページまでワンクリックで進めて便利だった」となれば、UXデザインの効果になります。一方、ユーザーが「バッグの写真が美しくて、サイト全体の色使いが素敵だった」と感じた場合はUIデザインの効果です。

UXデザインが重要視されている理由

UXデザインが重要視されている理由には、モノからコトを求めるユーザーのニーズが大きく影響しています。

大量生産・大量消費の時代では、商品やサービス自体を所有することに価値を置いていました。しかし、現代ではモノを所有するだけでなく、商品やサービスを通して得られる体験や満足感(コト)に価値を置くユーザーが増えています。

コトを求めるユーザーの興味や関心を引き出すためには、UXデザインでユーザーにとって魅力的な体験を提供し、満足度を向上させるのが重要です。また、複数の商品やサービスが開発されている現代では、どこかで他社と差別化をしなければ競争に負けてしまう可能性があります。他社より優れたUXデザインでユーザーに満足感を提供できれば、市場でのシェア拡大にもつながります。

UXデザインの成功事例6選を紹介!

ここでは、UXデザインの成功事例を6つ紹介します。実際の企業がどのようにUXデザインを取り入れたのか見ていきましょう。

Apple

Appleは、iPhoneやMacなどのデジタル家電を開発・製品するアメリカのIT企業です。Apple製品のUXデザインは、使いやすさやセキュリティ面で他社との差別化を図っています。

例えば、iPhoneのホーム画面はアプリアイコンが規則的に配置され、簡単に目的の機能にアクセスできるように工夫されているのが特徴です。また、Bluetooth機能を使って他媒体と連携させたり、AirDropを使えばiPhone同士で写真の送信ができたりとユーザーにシームレスな便利さを提供しています。

さらに、Appleはユーザーの声やフィードバックを収集しながら製品の改善を行っているため、常にユーザー目線の製品開発が可能です。

ユーザーの個人情報保護にも目を向け、Face IDやTouch IDなどの生体認証技術も取り入れています。定期的なアップデートの提供も行い、常に最新のセキュリティと機能を保ち続けています。

Airbnb

Airbnbとは、部屋を貸したいホストと宿泊したいゲストを結びつける民泊サービスです。

AirbnbのUXデザインは、ユーザーが求めている見やすさ・使いやすさを追及している事例です。

例えば、ホームページやアプリのトップ画面に目的地と日程を入力できる機能を付けて、ユーザーが簡単に操作できるように設計されています。また、検索して表示された宿泊施設をクリックすると、現地の様子が分かる写真やホストの紹介、レビューが細かく出てきます。レビュー内もキーワードで検索できるようになっており、ユーザーが知りたい情報をいち早く入手できるのも便利な機能です。

使いやすさと見やすさにこだわったUXデザインによって、Airbnbはユーザーにとってストレスフリーで快適に宿泊施設を探せる価値を提供しています。

Spotify

Spotifyは、音楽やポッドキャストを提供するストリーミングサービスです。

SpotifyのUXデザインは、音楽を通して快適で楽しい体験をしたいユーザーのニーズを満たす設計となっています。

ユーザーが好きな音楽を楽しめるよう、ホーム画面におすすめのプレイリストやアルバムを表示しているのが大きな特徴です。時間がないときでもホーム画面で好きな音楽をタップするだけで好きな音楽を聞けるのは、ユーザーにとって非常に便利です。

また、曲名やアーティスト名だけでなく、歌詞やストーリーも表示されるよう設計されています。ユーザーが音楽を聞くだけでなく、音楽をコンテンツとして楽しめるような仕掛けを行っているのが特徴です。さらに、ホームや検索、ライブラリなどのナビゲーション機能も分かりやすく表示されているため、迷わずに目的の画面にたどり着けます。

SpotifyのUXデザインは、音楽を通して付加価値を得たいユーザーのニーズを満たし、よりコンテンツを楽しめるように作られています。

Netflix

Netflixは、アニメやドラマ、映画の動画配信サービスです。

NetflixのUXデザインの特徴は、ユーザーが快適に映画やドラマを視聴できるように設計されている点です。

例えば、ホーム画面にはユーザーの視聴履歴や好みに基づいたおすすめコンテンツが表示されています。加えて、ジャンルや人気ランキングなどのカテゴリーに分けて表示されているため、ユーザーは見たい作品を簡単に探せるのもメリットです。探すときは画面を水平にスクロールするだけで良いため、ユーザーはストレスなくアプリやサイトを使用できます。

また、興味がある作品をタップすると自動で予告が流れるのも特徴です。テキストだけではなく、動画で大まかなストーリーを理解できるため、ユーザーは興味に合った作品を選びやすくなります。

他にも、オフラインで視聴可能なダウンロード機能や、マイリストに視聴したい作品を追加して後からすぐページに飛べる設計など、ユーザーの満足度を上げるUXデザインが特徴です。

無印良品 (MUJI)

無印良品(MUJI)は、生活用品から家具、食品まで幅広いアイテムを提供するライフスタイルショップです。

無印良品のECサイトのUXデザインは、ユーザーの欲しい商品にスムーズにたどり着ける便利な設計が特徴的です。例えば、トップページに季節に合わせた特集ページが組み込まれていたり、ただ単に商品をカテゴリーに分けるのではなく、テレビで紹介されたアイテムやSNSで人気の商品などにも分けたりしています。

サイト上部には、ユーザーが目的の商品をすぐ探せるように検索バーを配置しています。知りたいテーマに合わせた記事もサイト内に設置しているため、ユーザーは商品の購入に加えてライフスタイルに関する情報も手軽に入手できるのもメリットです。

また、商品ページでは画像や説明が詳しく掲載されており、ユーザーの購入前の商品に対する不安を解消できます。

LIFULL

LIFULLは、住まいや不動産に関する情報提供を行う企業です。

LIFULLが運営する不動産検索サイトのLIFULL HOME’SのUXデザインは、ユーザーが希望する物件情報を簡単に見つけられるように設計されています。

例えば、住まいを探すタブでは、住所や路線図、車の移動距離から物件の検索が可能です。すぐに検索できる機能は、ユーザーの「すぐに物件を見つけたい」「スムーズに物件を探したい」といったニーズを満たしています。また、物件をすぐに探せる機能だけではなく、ライフスタイルや住まいに関連した窓口やサービス情報も設計しているのが特徴です。

LIFULLのホームページのトップページには、住みたい街ランキングの記事を表示させ、ユーザーの関心を引くコンテンツを提供しています。

UXデザインを導入するメリット

UXデザインを導入するメリットは、以下の4つです。

  • ユーザーの満足度が向上する
  • 競合他社との差別化が図れる
  • ユーザーからの企業のイメージが上がる
  • ユーザーの興味・関心を引き出せる

順に解説していきます。

ユーザーの満足度が向上する

優れたUXデザインでユーザーに付加価値や良い体験を提供できれば、ユーザーの満足度が向上します。ユーザーが欲しい情報やコンテンツにすぐにたどり着けたり、欲しい情報と一緒に関連情報を追加したりと、使いやすさと見やすさを重視したUXデザインがされていると、リピーター獲得や良い口コミ評価につながる可能性が高いです。

競合他社との差別化が図れる

優れたUXデザインを導入することで、競合他社との差別化が図れます。他社がまだ認識していないユーザーの悩みや要望をUXデザインに組み込めば、ユーザーは「この商品は、別の企業の商品よりも価値を与えてくれそう」と良い印象を持ちやすいです。競争が激しい市場こそ、UXデザインにこだわってユーザーに効果的なアプローチを掛ける必要があります。

企業のイメージが上がる

UXデザインの導入で期待できる効果は、企業のイメージの向上です。ユーザーのニーズを満たすUXデザインを通して得られたポジティブなユーザー体験は、口コミやレビューで広まり、商品やサービスだけでなく企業の信頼性を高めます。結果として、新規顧客の獲得や既存顧客の維持につながります。

ユーザーの興味・関心を引き出せる

UXデザインでユーザーに良い体験を与えると、ユーザーの興味や関心を引き出しやすくなります。他社にはない独自の視点を取り入れたUXデザインのメリットは、ユーザーの満足度が上がるだけではありません。ユーザーの満足度を上げながら、継続的に興味や関心を持ち続けるきっかけともなります。

【成功事例から学ぶ!】UXデザインを成功へ導く3つのポイント

UXデザインの成功事例を分析すると、いくつかの共通点が見えてきます。成功事例を踏まえて、UXデザインを成功へ導く3つのポイントを紹介します。

押さえるべきポイントは以下の通りです。

  • ユーザーのニーズを深掘りする
  • ユーザーの感情を動かすデザインを設計する
  • 周期的に評価と改善を行う

それでは1つずつ見ていきましょう。

ユーザーのニーズを深掘りする

UXデザインの成功には、ユーザーのニーズの深掘りが欠かせません。ユーザーが商品やサービスを通してどのような価値を得たいのか、何を求めているのかが分かれば、UXデザインの方向性や手法が明確になるためです。

Airbnbを例にして、ユーザーのニーズの深掘りがなぜ重要なのかを考えてみましょう。Airbnbを利用するユーザーのニーズは「旅行の宿泊先を見つけたい」となりますが、宿泊先を見つけたいのは表面上のニーズに過ぎません。ユーザーがAirbnbに本当に求めているニーズの中には「快適な宿泊先を見つけて、思い出に残る旅行にしたい」といった思いも含まれています。Airbnbは、ユーザーに求めているものを理解して、現地の体験やアクティビティの提供サービスを展開し、シェア拡大を図りました。

ユーザーのニーズをそのままの意味で捉えるのではなく、本当は何を求めているのかを深掘りすると、UXデザインに効率よくニーズを満たすコンテンツを設計できます。

ユーザーの感情に寄り添った設計を考える

商品やサービスの利便性を重視するのも大切ですが、ユーザーの感情に寄り添ったUXデザインの設計を心掛けましょう。具体的には、ユーザーが商品やサービスに対して愛着や信頼感などの感情を持つような設計を考え、ユーザーの満足度を上げていくのがポイントです。感情に寄り添ったUXデザインを実現するには、ブランドイメージを崩さない程度にユーザーにメッセージを投げかけたり、感情や気分の変化に合ったデザインを構築したりするのが重要となります。

例えば、Spotifyは音楽を通してユーザーに価値提供をしながらも、感情に寄り添った設計をしています。ユーザーがこれまで聴いた楽曲に基づいてプレイリストを提案したり、その日の気分や感情に合わせた楽曲の提案をしたりと、ユーザーが「楽しい」と思える仕掛け作りをしているのが特徴です。

ユーザーの利便性を考えると同時に、ユーザーの気分や感情の変化に対応したUXデザインを考えましょう。

周期的に評価と改善を行う

UXデザインを効果的なものにするには、周期的に商品やサービスの評価と改善を行いましょう。UXデザインは一度設計して終了ではなく、何度も試行錯誤してユーザーの要望に近付けていきます。定期的にユーザーにフィードバックを求めたり、アンケート調査を行ったりしながら、足りない部分はないか、何が改善できるかを確認するのが成功のポイントです。

例えば、AppleのUXデザインの設計では、ユーザーの使いやすさに目を向けただけでなく、定期的なフィードバックを得ながら評価と改善を繰り返しています。ユーザーのフィードバックを活用しながら絶え間なく改善を加えることで、常に高い水準のユーザー体験を提供し続けられます。

UXデザインの具体的な改善方法

UXデザインの改善は、以下のステップで進めていきます。

  1. ユーザーの調査
  2. ペルソナ設定とカスタマージャーニーの作成
  3. プロトタイプ(試作品)の作成
  4. ユーザビリティテストの実施
  5. 検証と改善を繰り返す

上記のステップは人間中心設計とも呼ばれており、ユーザーを第一に考えてモノを作る方法です。UXデザインを効果的にするためにも、確認しておきましょう。

ユーザーの調査

まずは、ユーザーの調査をして現状の課題やニーズを見つけましょう。ニーズを明らかにできれば、ユーザーが本当に求めている体験や価値を把握できるためです。UXデザインは、商品やサービスを通してユーザーに良い体験を与えるためのプロセスのため、ユーザー自体を理解できなければデザインの方向性が定まりません。

また、UXデザインの悪い例として、仮説で立てたニーズと実際のユーザーのニーズの間にズレが生じているケースがあります。ニーズの不一致は、ユーザーの期待に応える体験を提供できずにユーザーの満足度を下げる原因となるため、徹底的に調査を行いましょう。

ユーザーの調査は、インタビューやアンケート、観察調査で実施されるのが一般的です。調査結果をもとに、ユーザーの期待に応えるための具体的な改善点や新しいアイデアを考えていきます。

ペルソナ設定とカスタマージャーニーマップの作成

次は、ユーザー調査で得たニーズや悩みをもとにペルソナ設定とカスタマージャーニーマップの作成をしていきます。ペルソナとカスタマージャーニーマップの意味は、以下の通りです。

  • ペルソナ:商品やサービスを利用するであろう架空の人物
  • カスタマージャーニーマップ:ユーザーが商品やサービスを使用するまでの一連の過程を視覚化したもの

ペルソナ設定とカスタマージャーニーマップの作成の目的は、ユーザーの調査で明らかになったニーズや悩みをどのように実現していくかを明確化することです。

例えば、アンケートの回答を依頼したユーザーの年代や性別、家族構成、ライフスタイルなどの情報からペルソナを設定すれば、UXデザインの方向性を決めやすくなります。加えて、設定したペルソナが商品を使用するまでに取った行動や購入までの経緯を視覚化できれば、これまでの施策の改善点や次のアプローチ方法を考えられます。

チーム間の認識のズレを防ぐ役割も果たし、より良いUXデザインを構築するための重要なフェーズです。

プロトタイプ(試作品)の作成

ユーザーの商品を購入するまでの流れを可視化し、改善点やUXデザインの方向性を決めたら、実際にUXデザインの設計に入ります。設計と聞くと、実際の商品やサービスを最初から本格的に作っていくと思いがちですが、まず行うのはプロトタイプ(試作品)の作成です。

最初の段階で本格的に作ってしまうと、後々の変更や修正が難しくなり制作コストが大幅に掛かる可能性があります。まずはプロトタイプでユーザーのニーズを形にし、繰り返し設計を行いながら商品やサービスを完成させていきましょう。

プロトタイプを作成するときは、ユーザー調査やカスタマージャーニーマップなどで得た課題や改善点、ニーズをしっかり反映させていくのが重要です。

ユーザビリティテストの実施

プロトタイプ(試作品)が完成したら、ペルソナに当てはまるユーザーに実際にプロトタイプを使用してもらうユーザビリティテストを実施します。ユーザビリティテストでは、商品やサービスの良い面だけでなく、使用したときの違和感や問題点もヒアリングするのが重要です。制作側はユーザーのニーズを満たすようにはしているものの、実際の使用段階で使いにくさや不便さを感じる場合があります。ユーザーが感じた問題をそのままにしておくと、ニーズとかけ離れた商品やサービスが完成する恐れがあるため、目をそらさずに受け入れましょう。

作りたい商品によってテストのやり方は異なりますが、WebサイトのUXデザインであればクリック数やサイト滞在の状況が見られるヒートマップなどのツールを活用するのがおすすめです。

検証と改善を繰り返す

ユーザビリティテストで得たユーザーのフィードバックをもとに、商品やサービスの検証と改善を行いながらUXデザインを設計していきます。UXデザインは一度設計したら終了ではなく、ユーザーからのフィードバックをもとに何度も改善策を考え、再度テストを行い検証の流れを繰り返していくのが重要です。

とはいえ、思うような結果が出ずに試行錯誤を繰り返しすぎてしまうと、商品やサービスのリリースが遅くなってしまうため、ある程度の許容範囲を決めておきましょう。リリースした後も、商品やサービスを通してユーザーが得た価値や体験を調査し、ユーザーのニーズに対応し続けるのがUXデザインの成功の鍵となります。

まとめ

モノ消費からコト消費の時代に変わった現代では、UXデザインの重要性は増しています。また、UXデザインでユーザーに良い体験や価値を与えることで、ユーザーの満足度や企業ブランドの向上が期待できます。質の高いUXデザインを設計するには、本記事でご紹介したように調査と検証、改善を繰り返すことが大切です。

とはいえ、UXデザインの設計には専門的な知識や技術が必要です。「UXデザインを取り入れるべきなのは分かっているが、どうすればよいか分からない」とお悩みの担当者の方もいるのではないでしょうか。

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