Webサイト制作の流れと進め方~制作期間や押さえておきたいポイントをご紹介

【監修】株式会社ジオコード Web制作事業 責任者
高松 建太郎

Webサイト制作(ホームページ制作)を始めるにあたり、進め方や制作期間をしっかり理解することは重要です。制作期間や各ステップで押さえておきたいポイントを知ることで、プロジェクトを効率的に進行できます。しかし、Webサイト制作の経験や知識がなければ、具体的な制作手順や必要な期間は分からない方も多いのではないでしょうか。

本記事では、Webサイト制作の基本的な流れと進め方を詳しく解説し、制作期間の目安や各ステップでの重要ポイントを紹介します。これからWebサイトを制作しようと考えている方、またはプロジェクトをスムーズに進めたい方は、ぜひ参考にしてください。

【7 STEP】Webサイト制作の流れ

Webサイト制作(ホームページ制作)は、多くの企業やブランドにとって重要なプロジェクトです。成功するためには、明確な目的設定から始まり、綿密な計画と実行が求められます。Webサイト制作は、主に以下のような流れで行います。

  1. 企画・要件定義
  2. サイト構成・設計
  3. デザイン
  4. コーディング
  5. コンテンツ制作
  6. テスト・最終調整
  7. 公開・運用

上記のステップを理解し実践することで、効果的で魅力的なWebサイトを構築することができます。

1. 企画・要件定義

Webサイト制作の最初のステップは、企画と要件定義です。サイトの目的を明確にした上でターゲットユーザーを設定し、必要な機能やコンテンツを洗い出します。しっかりとした計画を立てることで、後の工程がスムーズに進みます。

目的の明確化

はじめに制作するWebサイトの目的を明確にしましょう。目的の具体例として以下のようなことが挙げられます。

商品やサービスの認知度を上げる
商品やサービスの認知度を上げる目的のサイトを制作する場合、サイトのデザインやコンテンツは視覚的に訴えるものにし、広告キャンペーンと連動させることが重要です。具体的なKPI(Key Performance Indicators)として、ページビュー数や訪問者数の増加が目標になります。

売上を伸ばす
売上を伸ばすことが目的の場合、使いやすいUI/UXの提供や、購入プロセスの簡便化が重要です。ECサイトであれば、ユーザーが商品を簡単に見つけて購入できるように、検索機能やフィルタリング機能を充実させる必要があります。また、定期購入や会員登録を促進する施策も考慮しましょう。

目的が曖昧だと、どのようなコンテンツや機能を優先すべきかが不明瞭になり、結果として効果的なサイト運営が難しくなります。チームメンバーが同じ方向を向いて作業を進められるように、明確な目的を設定しましょう。

ターゲットユーザーの設定

目的が明確になったらターゲットユーザーを設定します。ターゲットユーザーを設定する際は、具体的なペルソナを想定するとよいとされます。ターゲットは年齢、地域、職種といった属性で分類された集団を指しますが、ペルソナは、ターゲットユーザーを具体的にイメージした人物像の設定のことです。

【ターゲットの例】

  • 30代
  • 女性
  • 会社員
  • 既婚

【ペルソナの例】

  • 名前:鈴木 彩
  • 年齢:35歳
  • 性別:女性
  • 職業:経理事務のパート
  • 居住地:東京都
  • 通勤時間:20分
  • 家族構成:夫、子ども2人の4人家族
  • 配偶者の有無:有
  • 最終学歴:4年制の大学を卒業
  • 年収:160万円
  • よく利用するSNS:LINE、Instagram
  • 悩み:教育資金や老後資金に不安がある

ターゲットユーザーの設定は、サイトのコンテンツやデザイン、マーケティング戦略に直接影響を与える重要な要素ですが、具体的なペルソナ設定によりユーザーのニーズへの理解が深まり、適切な訴求ができるサイト作りができるでしょう。

要件定義

目的とターゲットユーザーが決まったら、次にサイトの要件を定義します。要件定義は、プロジェクトの土台となる部分であり、ここでの決定が全ての工程に影響を及ぼします。

必要な機能の洗い出し
どのような機能が必要かを明確にします。具体的には、ユーザー登録機能や検索機能、ショッピングカート機能、問い合わせフォームなどが含まれます。

コンテンツの決定
どのようなコンテンツが必要かを決定します。テキストコンテンツや画像、動画、ブログ記事など、ターゲットユーザーにとって有益な情報を提供するために必要なコンテンツを計画します。

デザインの方向性
サイトのデザインの方向性を定義します。ブランドカラーやロゴの使用方法、フォントの選定、レイアウトのガイドラインなどを決定し、一貫したビジュアルを提供します。

技術的要件
サイトの技術的要件を明確にします。例えば、使用するプラットフォーム(WordPress、Drupalなど)や、必要なプラグインやモジュール、セキュリティ対策を定義します。

スケジュールと予算
プロジェクトのスケジュールと予算を設定します。各フェーズの納期を設定し、予算内で必要なリソースを確保します。

要件定義は、プロジェクトの成功に欠かせないステップです。全ての関係者が同じ認識を共有し、共通の目標に向かって進むための基盤となります。

2. サイト構成・設計

次のステップは、サイト構成と設計です。まずサイトマップを作成し、サイト全体の構造を決定します。その後、各ページのワイヤーフレームを作成して具体的なレイアウトを設計しましょう。この段階では、ユーザーが使いやすく、情報が見やすいサイトを構築することを目指します。

サイトマップ作成

サイトマップは、Webサイト全体の構造を視覚的に表現する図です。サイトマップを作成することで、全てのページとその相互関係を明確にし、サイト全体の流れを把握しやすくなります。

サイトマップを活用すれば、ユーザーがどのようにサイト内を移動するのかを考慮した設計が可能です。例えば、トップページから主要なカテゴリーページへのリンク、カテゴリーページから各サブページへのリンクを明示することで、ユーザーが求める情報にスムーズにアクセスできるようになります。

また、サイトマップはSEOにも有効で、検索エンジンがサイトの構造を理解しやすくすることで、検索結果の順位向上につながるでしょう。結果として、サイトのユーザビリティが向上し、ユーザーの満足度が高まります。

ワイヤーフレーム作成

ワイヤーフレームは、各ページのレイアウトや要素配置を簡易的に示した設計図です。具体的なデザインに入る前に、ページの基本構造を決定するための重要なステップです。

ワイヤーフレームを作成することで、各ページの目的や内容、要素の配置が明確になります。具体的には、ヘッダーやフッター、ナビゲーションメニュー、コンテンツエリアなどの配置を定義し、ページのレイアウトを視覚的に確認可能です。プロジェクトに関わる全員がページの構造を理解し、共通の認識を持てるようになるでしょう。

これにより、デザインの方向性が明確になり、具体的なデザイン作業がスムーズに進行します。ワイヤーフレームの作成は、デザインの品質を高め、プロジェクトの効率的な進行を支える重要なステップです。

3. デザイン

デザインのステップでは、サイトの見た目を作成していきます。デザインは、ユーザーの印象を大きく左右する重要な要素です。まずデザインコンセプトを決定し、モックアップを作ります。

デザインコンセプト決定

デザインコンセプトは、Webサイトの見た目や雰囲気を決定する基本方針です。ターゲットユーザーにどのような印象を与えたいかを考慮し、企業やブランドのイメージに合わせて決定します。

例えば、若者向けのファッションサイトであれば、鮮やかなカラーとモダンなフォントを使用し、トレンド感をアピールするのがおすすめです。一方、企業のコーポレートサイトであれば、信頼感や専門性を伝えるために落ち着いたカラーとフォーマルなフォントを選ぶとよいでしょう。

また、カラーやフォント、レイアウトなどのビジュアル要素を統一すれば、サイト全体の一貫性を保つことができ、ユーザーにとって見やすく、使いやすいデザインになります。

モックアップ作成

モックアップは「模型」の意味で、実際のデザインを具体的に示したモデルです。完成後のWebサイトの見た目を事前に確認するために役立ちます。モックアップを作成することで、デザインコンセプトに基づいた詳細なデザインを具体化し関係者と共有します。

例えば、トップページや主要なカテゴリーページ、商品の詳細ページなどのモックアップを作成すれば、各ページのレイアウトや要素配置、ビジュアルスタイルの確認が可能です。関係者と共有し、フィードバックを基に修正や改善を行うことで最終的なデザインを完成させます。デザインの品質を高め、ユーザーにとって魅力的で使いやすいサイトを実現するために重要なプロセスです。

4. コーディング

デザインが固まったら、次はコーディングです。コーディングはフロントエンドとバックエンドに分かれます。

フロントエンド

フロントエンドは、デザインや操作性などユーザーが直接目にしたり触ったりする部分の開発をする作業です。HTML、CSS、JavaScriptを使用して、ユーザーが目にする部分を構築します。

HTMLはページの基本構造を定義し、CSSはそのデザインを整える役割を果たします。また、JavaScriptを使ってインタラクティブな機能を追加すれば、ユーザー体験の向上につながるでしょう。

具体的には、フォームの入力中にエラーをチェックしてくれるリアルタイムバリデーション機能やアニメーション効果などです。フロントエンドの質が、サイトの表示速度やユーザビリティに直結するため、高品質なコーディングが求められます。

バックエンド

バックエンドは、データベースやサーバーサイドのプログラムを構築するといった、ユーザーの目に触れない部分を開発する作業です。プログラミング言語やフレームワークを使用して、データの保存、処理、取得を行います。例えば、ユーザー認証、データベースとの連携、サーバーの設定など、ユーザーがスムーズにサイトを利用するために重要です。

適切なセキュリティ対策による、サイトパフォーマンスの最適化も欠かせません。バックエンドの品質は、サイトの信頼性とパフォーマンスに大きく影響します。

5. コンテンツ制作

コーディングの次は、Webサイトに必要なコンテンツを制作するステップです。テキストコンテンツや画像、動画などのメディアコンテンツを準備し、ターゲットユーザーにとって有益で魅力的な内容を提供します。

テキストコンテンツ

テキストコンテンツは、サイトに掲載する文章で、ターゲットユーザーにとって有益であることが必要です。SEOを考慮してキーワードを適切に配置し、検索エンジンでの上位表示を目指します。

ユーザーの問題解決につながる内容を読みやすく分かりやすい文章で作成し、ユーザーの興味を引くようにします。視認性にも配慮し、見出しや段落分け、箇条書きなどを活用して、ユーザーが情報を速やかに取得できるように工夫しましょう。

質の高いテキストコンテンツは、ユーザーの信頼を得るだけでなく、サイトの滞在時間や回遊率の向上にも効果的です。

メディアコンテンツ

画像、動画、イラストなどのメディアコンテンツを効果的に配置して、視覚的にユーザーの興味を引きます。高品質なメディアを準備することで、情報を効果的に伝えることが可能です。

例えば、商品の魅力が伝わる写真や、複雑な情報を分かりやすく説明する動画は、ユーザーの理解をサポートするのに役立ちます。

メディアコンテンツは、ページの読み込み速度やSEOにも影響するため、最適な形式とサイズでの使用が重要です。適切な配置と使い分けによって、サイト全体の魅力を向上させます。

6. テスト・最終調整

コンテンツがすべて揃ったら、サイト全体のテストと最終調整を行います。テストには機能テストと表示確認の2つがあります。

機能テスト

機能テストは、全ての機能が正しく動作するかを確認するテストです。異なるデバイスやブラウザでも正しく動作するかの確認も必須で、ユーザーがどの環境でも快適に利用できるようにします。

フォームが正しく送信されるか、ナビゲーションが意図したとおりに機能するかなどを検証し、バグや問題点が見つかった場合には適宜修正します。テストを徹底することで、リリース後のトラブルを未然に防ぎ、ユーザーに高品質なコンテンツを提供できるでしょう。

表示確認

機能テストと並行して、デザインやレイアウトが正しく表示されているかの確認も必要です。フォントサイズや色、画像の配置などがデザインコンセプトに沿っているかを細かくチェックし、全ての要素が意図通りに表示されていることを確認します。

また、デバイスごとに表示が崩れていないか、レスポンシブデザインが適切に機能しているかも重要なポイントです。最終調整によって、統一感のある美しいサイトを完成させることができます。

7. 公開・運用

最終調整が完了したら、サイトを公開します。公開後も運用と保守を継続し、定期的な更新や改善を行います。ユーザーのフィードバックを基に、常にサイトの品質を保ち、よりよいコンテンツを提供することが重要です。

公開作業

全てのテストが完了したら、サイトを公開します。公開後には速やかに動作確認を行い、問題がないか最終チェックを実施しましょう。また、リリース日には関係者全員が迅速に対応できる体制を整えておくことが重要です。

突然のアクセス増加に対応するためのサーバーモニタリングや、公開直後に発生する可能性のあるバグに即時に対応できるように準備を整えます。公開作業がスムーズに進行するよう、事前に詳細な計画を立てておくことで、トラブルを最小限に抑えられるでしょう。

運用・保守

公開後は、サイトの運用と保守を行います。定期的な更新やコンテンツの追加、ユーザーからのフィードバックを基に改善を続けましょう。具体的には、定期的にブログ記事を更新したり、新製品の情報を追加したりします。

また、ユーザーの使用状況をモニタリングし、改善点を洗い出します。トラブルが発生した場合には素早く対応し、常にサイトの品質担保が必要です。適切な運用と保守により、ユーザーにとって価値のあるサイトを維持し続けられます。

Webサイト制作に必要な期間

Webサイト制作の期間は、サイトの規模や目的、機能の複雑さによって異なります。一般的なWebサイト制作に必要な期間をまとめると、以下のとおりです。

サイトの種類ページ数制作期間の目安
ランディングページ(LP)1ページ約1カ月
キャンペーンサイト3〜5ページ約2カ月
コーポレートサイト(一般企業)10〜20ページ1〜3カ月
コーポレートサイト(大企業)20ページ以上6〜9カ月

Webサイト制作は多くのステップを経て行われるため、それぞれのステップで十分な時間とリソースの確保が重要です。また、制作期間を短縮するためにも、事前の準備やプロジェクト管理の徹底を行いましょう。

Webサイト制作を成功に導くポイント

Webサイト制作では、各工程がそれぞれ重要な役割を持っています。効果的で魅力的なWebサイトを構築し成果を上げるためには、プロジェクトをスムーズに進行し、着実にステップを踏まなければいけません。ここでは、そのWebサイト制作を成功させるために重要なポイントを3つ紹介します。

  • 適切な目標やスケジュールを立案する
  • 専門的な技術者を配置する
  • 制作会社への依頼も検討する

1. 適切な目標やスケジュールを立案する

Webサイト制作を成功させるためには、まず適切な目標設定とスケジュールの立案が欠かせません。目標設定では、サイトを制作する目的の明確化が重要です。

例えば新製品のプロモーションや、ブランド認知度の向上、リードジェネレーションなど、具体的な目標を設定することで、サイトの方向性が明確になります。

また、スケジュールを立案する際には、各制作フェーズの期間を見積り、リアルな進行計画を策定します。これにより、進捗状況を把握しやすくなり、プロジェクト管理が効率的になるでしょう。

2. 専門的な技術者を配置する

Webサイト制作には多岐にわたる専門知識が求められます。フロントエンド開発者やバックエンド開発者、デザイナー、コンテンツクリエイターなど、それぞれの分野に特化した専門家をチームに配置することが重要です。

フロントエンド開発者はHTMLとCSS、JavaScriptを駆使してユーザーインターフェースを構築し、バックエンド開発者はサーバーサイドの処理やデータベース管理を担当します。

デザイナーはサイトの視覚的な魅力を高め、コンテンツクリエイターは質の高いテキストやメディアコンテンツを制作します。専門家を揃えることで、サイトの品質が向上し、UXを改善できるでしょう。

3. 制作会社への依頼も検討する

社内リソースが不足している場合や、専門的な技術が必要な場合は、Webサイトの制作会社に依頼することも検討するとよいでしょう。制作会社を選ぶ際には、過去の実績やポートフォリオを確認し、依頼するサイトの要件に適しているかを確認することが大切です。

また、制作会社とのコミュニケーションも重要です。プロジェクトの進行中に適切なフィードバックを得るためには、双方の意思疎通が円滑であることが求められます。見積りを依頼する段階で、担当者の対応が迅速か、細かく要望を聞いてもらえるかなどを確認するとよいでしょう。

また、費用の内訳や納期を明確にしておくことで、後々のトラブルを避けられるでしょう。

Web制作の流れを把握して、魅力的なサイトを作成しよう

Webサイト制作の流れを理解し、各ステップのポイントを押さえることで、プロジェクトをスムーズに進行できます。

適切な目標設定やスケジュール管理、専門技術者の確保、制作会社への依頼などを効果的に組み合わることが、魅力的で効果的なWebサイトの作成に重要です。しっかりと準備を整え、成功するWebサイト制作を目指しましょう。